GREETING

2026年度 一般社団法人伊丹青年会議所 理事長所信

翔けろ
伝統を背負い、
新時代へ。

第63代 理事長 吉機 翔太

はじめに

 「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志のもと、青年会議所は戦後の混乱期に、明るい豊かな社会の実現を目指して誕生しました。私たちが住むこの伊丹の地でも、誇り高き志を持った青年が集まり、1963年に全国で252番目の青年会議所として伊丹青年会議所が誕生しました。
 この長きに渡る歩みは、社会課題に立ち向かい、変革を恐れず挑戦を続けてきた先輩諸氏の努力の積み重ねによるものです。また、私たちの活動は常に地域の皆様、行政・各種関係諸団体、そして共にまちづくりに取り組んできた多くの方々のご理解とご協力のうえに成り立っています。この場をお借りして、深い感謝と敬意を表します。
 どの時代においても、大志を抱いた青年たちが仲間とともに行動し、経験と成長を重ねてきたからこそ、青年会議所は地域に必要とされる組織であり続けてきました。そして今、私たちが立つこの舞台も、数えきれない先人たちの想いと歩みが紡がれた伝統の上に成り立っているのだと、改めて実感しています。
 2026年度、伊丹青年会議所はスローガンに「翔けろ~伝統を背負い、新時代へ~」を掲げ、伝統という土台をしっかりと背負いながら、新しい時代へと自分たちの力で飛び込んでいく。その第一歩をためらわず踏み出し、ただ走るのではなく、思い切って羽ばたき、今までの枠や限界を超えていくという意味を込めました。過去を大切にしながらも、変化を恐れず挑戦を続ける一年にしてまいります。私たちが受け継いできた伝統とは、過去に築かれた価値観や姿勢そのものです。それは、誇りある財産であり、守るべき精神です。しかしそれをただ守るのではなく、新たな時代にふさわしいかたちに昇華させ、地域に対して力強く発信していくことこそが、今の私たちに課された使命だと考えます。
 価値観の多様化、少子高齢化、テクノロジーの進化など、私たちを取り巻く社会環境は日々大きく変化しています。こうした時代において必要とされるのは共感力をもって人とつながり、多様な仲間と共に未来を創り出すリーダーです。ここでいう共感力とは、ただ相手に同調することではなく、相手の想いを受け止め、自らの意思をもって向き合い、その可能性を引き出す力です。その力を備えたリーダーこそが、多様な視点を束ね、新しい価値を生み出し、組織を革新へと導きます。
 青年会議所は、地域の社会課題解決に取り組む団体であると同時に、リーダーを育成する場でもあります。変わりゆく時代であっても、その本質は変わりません。人とのつながりを通じて自己を高める修練、培った力をもって地域に尽くす奉仕、そして同じ志をもつ仲間との友情の三信条を体現し、さらに高め合うことです。
 第63代理事長として、私はこの三信条を胸に、伝統を背負い、現代のニーズや課題に柔軟に向き合いながら、従来の枠にとらわれることなく、変革の先頭に立ってまいります。そして、志ある仲間とともに、次の時代へとバトンをつなぎ、地域に必要とされる青年会議所として、さらなる飛躍を目指してまいります。

仲間を増やし共に成長

 全国的に青年会議所の会員数が減少傾向にある中、伊丹青年会議所では近年、10名前後の新入会員を迎え入れてきました。しかし同時に、多くの卒業生も送り出しており、組織の規模としては横ばいの状態が続いています。このまま新たなリーダーが育たなければ、やがて私たちの活動そのものが立ち行かなくなります。青年会議所とは、まさに未来を切り拓く新たなリーダーを創る団体です。だからこそ、仲間を増やし、育てることこそが組織の未来を支える最も重要な使命です。
 JC活動は家庭や仕事など、さまざまな責任を担うなかで、活動との両立は決して容易ではありません。しかし、すべてを一人で成し遂げる必要はありません。JCには、互いに支え合い、高め合う仲間がいます。その関係性が、困難を乗り越え、挑戦を続ける原動力となり、次なる仲間を惹きつける魅力となります。
 会員拡大は、一部のメンバーだけが取り組むものではなく、組織全体で取り組む運動です。単に人数を増やすことが目的ではありません。一人ひとり異なる強みを持つ仲間と出会い、共に成長していくことこそが本質です。そのためには、一人ひとりが当事者意識を持ち、自らの言葉でJCの魅力を伝え、まずは興味を持ってもらうことが必要です。そして、その先に事業への参加や人とのつながりといった体験を通じてこそ、共感や仲間としての結びつきが生まれ、拡大の輪が広がっていきます。
 私たちがまず成すべきは、自らがリーダーとしての資質を高め、誇りを持ってJCを語れる存在になること。その姿勢が、これから出会う新たな仲間にこの人と一緒に活動したいと思わせる最も強い力になります。そして拡大運動を成功させ、持続可能な組織へと成長していきます。

未来を翔ける子どもたちへ

 今、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。スマートフォンやSNSなどのデジタル社会が当たり前となる一方で、子どもたちが自由に身体を動かして遊ぶ機会は減少傾向にあり、さらに家庭環境や生活習慣、友人関係やデジタル環境の変化なども重なって、自己肯定感や他者との関係性に課題を抱える子どもが増えているのが現実です。
 文部科学省の調査によれば、日本の子どもたちは主要先進国の中でも自分に満足していると答える割合が最も低く、孤独感や自己否定感を抱えながら日々を過ごしている子どもが少なくありません。未来を翔ける子どもたちに必要なのは、安心して挑戦できる環境と、多様な経験に触れられる機会です。協力する喜び、挑戦の怖さと達成の歓び、失敗から立ち上がる勇気、こうした体験を通じて、子どもたちは自分を信じる力や仲間と協力する力を育み、やがて自分を育ててくれたまちへの誇りと愛着へとつながっていきます。
 私たちは子どもたちの可能性を信じ、一人ひとりが持っている個性と能力を最大限に発揮できる場を創出し、大人も子供たちと共に成長していける事業を実施してまいります。

共感と信頼を紡ぐ

 伊丹青年会議所はこれまで、青少年の健全育成を目的とした体験事業や、地域防災、国際交流、行政との連携によるまちづくりの推進など、時代と社会の要請に応えながら、地域に根ざした数多くの事業を積み重ねてきました。市内での認知度は決して高いとは言えませんが、60年以上に渡り、まちの未来に真剣に向き合ってきたその姿勢こそが、伊丹青年会議所というブランドの土台です。しかし、現代社会においては、たった一度の言動や行動が、何年もかけて築いた信頼を一瞬で崩してしまう危うさと背中合わせです。公の場での立ち居振る舞い、地域の方との交流、事業やイベントでの姿勢、その一つひとつがJCとはこういう団体だというまちの認識を形づけていきます。だからこそ私たちは、情報発信の手段にとらわれず、あらゆる行動を発信と捉える視点を持ち、メンバー一人ひとりが信頼される人であることを目指します。
 本年度は、各所関係諸団体との連携をさらに深め、各事業において誰に・何を・どう伝えるのかを明確にするメッセージ設計を行い、行動と発信が一致した広報を推進します。SNSをはじめとするツールは、そのための手段であり、最も大切なのは、私たちの活動姿勢そのものが信頼を獲得するブランドの根幹であるという意識です。
 私たちはこれからも、まちに根ざした活動を真摯に積み重ね、伊丹に暮らす人々から必要とされる存在を目指します。そのために、これまで60年以上かけて培ってきた信頼と歴史を胸に、未来を見据え、歩みを止めることなく前進し続けます。

基盤を進化させる

 総務委員会は、すべての活動の土台を支える屋台骨であり、縁の下の力持ちです。会議の円滑な運営、規律の確立、正確な文書管理や情報共有体制の構築など、目立たぬところで組織の信頼と秩序を支えています。その役割は単なる守りにとどまらず、会議運営や情報管理をはじめ、組織全体が円滑に活動できる基盤を築くことにあります。今年度は、現状の仕組みがなぜ残っているのか、失われたものはなぜ無くなったのかを丁寧に調査・研究し、現代に合った必要な制度や運営の仕組み・慣習を見極めていきます。
 利便性を高めるデジタルツールの活用は推進しますが、それだけに頼ることなく、人と人との対話、空気感、気配りといったアナログだからこそ伝わる温度を大切に、メンバーが心から安心して参加できる環境づくりを追求していきます。また、青年会議所の仕組みは新入会員や若手メンバーにとって複雑に映ることもあります。だからこそ、丁寧な案内や見える化を徹底し、わかりやすさと入りやすさの両立を図ります。一つひとつの連絡、段取りの積み重ねが、信頼感や士気、そして伊丹青年会議所全体の推進力につながっていきます。
 総務の役割は記録や整備だけでなく、過去の歩みを未来へ活かす継承の要でもあります。60年以上にわたる歴史と伝統を背負いながら、現代に合った柔軟な制度と運営スタイルへとアップデートし、より強く、優しく、魅力あふれる伊丹青年会議所を支える基盤を築いていきます。

挑戦が、未来を拓く。ともに、新時代の扉を開こう

 青年会議所への入会動機は人それぞれです。理念に共感して入会するメンバーもいれば、人とのつながりや興味本位で一歩を踏み出したメンバーもいます。大切なのは、入会後に何を感じ、どう行動するかです。私自身、最初はJCの意義を深く理解していたわけではありませんでした。しかし、委員会活動、例会、各種大会、出向を通じて、多くの仲間と出会い、数えきれない学びを得る中で、JCの持つ力と価値を体感しました。
 その経験から確信しています。まずは参加すること。それがすべてのはじまりです。新入会員は、未来を切り拓く新たなリーダーとなる存在です。例会や各種活動では、単なる参加者としてだけでなく、小さな役割や担当を持つことで、主体的に行動する機会を提供します。こうした経験を通じて、JCの意義を知り、共に成長する仲間と出会い、参加する楽しさを感じてもらいます。互いに刺激を受けながら、自らに挑戦を課し、一歩ずつ成長していく場をつくります。小さな挑戦の積み重ねが、未来の自分をつくり、次世代のリーダーとしての一歩を踏み出す原動力となります。
 また、既存メンバーは新たな仲間の可能性を信じ、誰ひとり取り残さない関わりを大切にします。ただ見守るのではなく、丁寧なフォローアップを行いながら、各種大会や出向への積極的な声かけを通じて、多様な体験の機会を提供していきます。JCの意義を知識としてではなく体感として理解し、自らも、そして仲間とともに新時代の扉を開こう。

むすびに

 私自身、子育て世代として、次の世代がこの伊丹で夢を描き、安心して暮らしていけるような環境をつくりたいと強く願っています。そのためには、青年会議所というフィールドを活かし、志を共にする仲間とともに、一歩ずつ前に進み続けることが必要です。
 2020年にJCに入会しましたが、思うように活動ができないもどかしさを感じ、一度退会を検討しました。そんな中でも、先輩や仲間たちの温かな支えに励まされ、活動を続ける中で、地域と真摯に向き合うJC の意義を肌で感じることができました。 自分の意思だけではなく、誰かの想いや期待に応えることが、これほど自分を成長させてくれるのかと実感しました。だからこそ今、感謝の思いを胸に、皆とともに未来を創りたい。恩返しではなく、恩送りとして、今度は私が誰かの背中を押していけるよう努めてまいります。
 この経験を原点に、2026年度は時代が変わろうとも、伝統を背負いながら、今を生きる私たちが志ある仲間とともに、新たな時代にふさわしい青年会議所の価値を創造し、次代へと受け継いでいく一年にしてまいります。